インソースが考える「グローバル人材」(3)〜育成計画の作り方とグローバル組織の考え方

■体系的な育成計画の作り方

以上述べてきた能力について、どのように体系的な育成計画を作成して、
グローバル人材を育成していくかについて、以下に記します。

まず、習得項目を、階層別、習得手段別に、どんな能力をいつ、どのよう
に習得させるのかについてのゴールを設定して、継続的に取り組んでいく
ことです。

習得項目については、ビジネススキル、経営に関する事項、語学、異文化
理解、専門知識などがあります。

階層別についてはざっくり、新人・若手層、中堅層、管理職層、上級管理
職層、経営層に分けられます。(会社によって、階層概念が異なると思い
ます。)

習得手段には、研修、通信教育・E−Learning、語学、海外派遣
などが挙げられます。人材は最終的に、OJTを通じてしか育たないので、
OJTとOff−JTをうまく組み合わせて、効率的な人材育成を考えて
頂きたいと思います。

グローバル人材育成体系を作成するに際して意識して欲しいことは、若い
うちから様々なことを広く学ばせることです。例えば経営戦略研修は、部
長・課長職に実施するようなケースが多いですが、私は、若いうちに通信
教育、E−Learningなどで勉強させるくらいの体系にしたほうが
よいのではないかと考えています。管理職になってから始めて勉強するで
は遅すぎるというのが、その理由です。


■できる限り現地で働く機会を設ける

また、グローバル人材を多く輩出するためには、できる限り多くの人に現
地で働く機会を設けることが望ましいと考えます。予算との兼ね合いもあ
りますが、若手社員全員を研修生として、短期間派遣するという手法もよ
いのではないでしょうか。(私は銀行時代、短期間の研修派遣を人事部に
提案したことがありましたが、結果は受け入れられませんでした。)

本当のグローバル企業になろうと思えば、社内共通言語を英語にすること
も考えなければならないかもしれません。英語ができない国、国民である
こと自体が、大きなハンディキャップになっていますので、この点を克服
することは大切だと思います。


■グローバル組織を考える〜意思決定・採用

最後になりますが、グローバル展開していくうえで重要なのが、グローバ
ル組織をどう考えるかということです。これは、意思決定のスピードアッ
プに大きく関わる重要なポイントです。いちいち日本本社にお伺いを立て
るなどしていたら、世界の競争に取り残されることになりかねません。

地域ごとに地域本社(Headquarter=HQ)を置き、現地で迅
速に意思決定するとか、現地法人社長に現地の人を登用し、本当の意味で
の現地化を推進するなどが考えられます。

以上、グローバル人材育成について、その考え方を簡単に述べてきました
が、皆様には、時既に遅しということにならないように、危機感を持って
取り組んで頂きたいと思います。

グローバル人材(1)

グローバル人材(2)